今日数年ぶりに街の床屋さんに行きました。そこで感じたことを書き残します。少し長文となります。ご容赦下さい。この時期なのでコロナネタもありますが、少し違うことを感じました。
このご時世で床屋に行くのも少しためらいがありました。「あと1~2週間は我慢できるかな?」という気もしました。しかし数週間で状況が好転するとも思えないので、今行く方がベストじゃ無いかと思ったのです。
ここ数年、散髪は格安店に行ってました。安い・早いに魅力を感じたからと言うのもありますが、他にもいくつか理由がありました。
朝風呂に入るので、床屋で洗髪するのが無駄に感じていました。
また、顔剃りも幼稚園の頃、切れたことがあり軽いトラウマになっていました。
しかし直接の理由は、予約して数時間待って散髪に1時間位かかるので時間が取れないことがあり、試しに格安店に入ったのが切っ掛けでした。自分は床屋を変えるのに抵抗があるのですが、洗髪や顔剃りが無くても意外と違和感が無かったので、格安店に通うようになった次第です。
今日行った床屋さんは、以前に通っていたお店です。まだ営業しているか不安でしたが、予約の電話をすると聞き覚えのある声がしました。何時から空いているかを確認すると「この時期なのでいつでもどうぞ!」とも事でした。このお店も感染対策で同一時間帯は1人限定で営業しているとのことでしたが、今日は予約が入っていないとのことです。すぐに伺いますと言って急いで向かいました。
以前このお店はイスが5つ位ある中型店でメイン通りに面した立地でした。店には賞状や盾がたくさん並んでいる繁盛店でした。予約は受け付けて無く、待合室はいつも満席で、もちろんカットする席も満席でした。みんな待合室で漫画などを読みながら1~2時間待っていました。しかしこの店は10年ぐらい前に住宅街に引っ越しイスが2席の小さな街の床屋さんになりました。
少し緊張しながら席に座りお頭を刈ってもらうと、すぐに懐かしい音が聞こえました。店には小さい音量でクラシックが流れていますが、ハサミの音が心地よいのです。格安店と何が違うのか分かりませんが、このハサミの音はこのご主人特有のものなのか癒やされるのです。色々違いを考えたのですが、格安のお店はハサミの音がせわしないのです。また、バリカンを多用するのでモーター音がしていることが多いのかもしれません。刈り方も格安店は1度切ったところはもう切りませんが、ご主人は全体をチェックしながら左右に移動しながらバランスを整えているようです。
一通り切り終わるとちょいと苦手にしていた洗髪です。しかし、優しい指使いで頭皮をマッサージしながら洗髪してくれます。次はもう一つの苦手な顔剃りです。これも剃り終わったあとに化粧水をつけるのも顔のみならず、顔面から頭皮・首や肩までマッサージをしていきます。苦手なことばかり書きましたが、床屋さんのマッサージは大好きでした。追加料金でも延長してもらいたいぐらいです。数年前と同じ手順で一連の儀式が行われていきます。
儀式という表現をしたのも、このお店特有の所作があります。今でも一番不思議なのが顔剃りのあと、たぶんアルコールと思われるガーゼを顔にかけます。必殺仕事人で濡れ手拭いを顔にかけて暗殺する場面を見たことがありました。これを連想して「儀式」と言ってます。
一連の手順が以前と全く同じ所作で進行していきましたが、長い間来なかった間に新しい儀式が追加されていました。最後に耳掃除をしてくれるようになったようです。こちらも儀式という表現をしたのは、同じく必殺仕事人で耳に畳の縫い針を刺して暗殺するシーンを連想してしまったためです。これは突然の儀式で戸惑ってしまい良く覚えていませんが、とても癒やされました。
苦手にしていた所作も毛髪や頭皮に必要な作業なのでしょう。
このお店は格安のヘアーサロンが出てくる遙か前に今の場所に移ってきました。今から思うと、行くごとにお客さんが少なくなってきたのを感じていました。最後の頃はほとんど待ち時間なく頭を刈ってもらえました。しかし、今のお店になるとご主人が1人になり、予約制になったので中々時間が合わないことが出てきました。
久しぶりにご主人に散髪してもらい、早い・安いの代償で癒やしも無くなっていたことに気がつきました。ひと月に1度のことで、この癒やしの時間も切り捨てていました。癒やしの代償としての数千円を高いと思うか安いと思うかは人それぞれだと思いますが、自分の仕事も同じだと思わされました。
もちろん自分の店も衛生管理を今まで以上に注意して営業を続けています。営業を続けるか、休業するかは今でも悩んでいます。お客様にも家族にもリスクがあるのは承知しています。
今の時期、気持ちが荒んでくる方も多いと思います。うちの店を選んでご来店頂いたお客様にはこの癒やしも提供していこうと思わされました。
帰り際にご主人から「今回初めてですか?」と問いかけられました。自分も握っているうちに「あれ?この人初めてじゃ無い!」と気づくことがあります。顔を覚えて無くでも、注文の癖で以前の記憶が蘇ることが多々あります。おそらくご主人も、髪の癖などで以前来ていたことが分かったのかもしれません。
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